iPodで最近取り込んだカルメンマキ『真夜中詩集』を聴きながらウォーキングをしていると、その中の『マキの子守唄』という曲が鳴り出した。このアルバムの各曲の冒頭ではカルメンマキは寺山修司の詩を朗読するのだが、この『マキの子守唄』では「・・・(前略)、私の大好きなスペインの小さな町の子守唄「ショーレム」に勝手な詩をくっつけて歌います」という台詞の後で歌が始まった。
聴いて驚いた。この「ショーレム」という曲は昔深夜放送でよく流れていた。当時はヒットパレードのような番組で、ずっと続けてトップだったような気がする。この曲をまた聴きたいと長い間思ってきた。原曲ではないが、それが突然カルメンマキのアルバムから流れてきたのだった。記憶に残っているのは「ヘレム ショーレム ムネヘン、ヘレム ショーレム ムネヘン・・・」という歌詞の女性ボーカルの曲だった。曲の途中ではオリエンタル調の間奏が入る。ずっとイスラエルかユダヤに関係のある音楽だと思ってきた。スペインの小さな町の子守唄と聞いてもいまだに半信半疑のままだ。
それはともかく、懐かしい思いがした。当時は本当によく深夜放送を聴いていた。身の回りの狭い世界に飽き飽きしていて、ラジオの向こうに広がっている世界に胸をときめかしたものだった。同時に、当時の「オールナイトニッポン」や糸井五郎、牟田悌三、朝丘雪路らの名前が次々に思い浮かんできたのだった。