レジに並んで僕の順番になるまでに、少し時間がかかりそうだった。ポケットの中に1円玉から100円玉まで硬貨がいろいろあった。暇だったので取り出して見たら、約15枚ほどの硬貨のほとんどが平成に鋳造されたもので昭和の文字が見えるのはわずかに2枚だった。そのことに驚くと同時に昭和は遠くなったとしみじみ感じた。
平成生まれの人がそろそろ20歳になるので、普通はその事実に気づいたときに昭和は遠くなったと感じる人が多いだろう。しかし、僕の場合は、きょう硬貨という身近で些細なものから、それを実感したのだった。感慨深い出来事だった。些細なことで細かいやつだと思われるかもしれない。しかし、観察力が鋭いではないかとあえて主張したいのである。