時の流れというものは人の心に微妙な変化をもたらすものだ。
これまでバンコクで何度も滞在したペニンシュラホテルには不満を感じることはなかったが、ふと最近その滞在に少し飽きてきたような、マンネリ化したような感じがしてきた。新しくスパもできたし、プールサイドの気持ちのよさもサービスの質も変わらないし、特に問題があるわけではないのだが、新しい別の世界への誘惑が僕にささやきかけてきたのだ。
バンコクへの今年の冬の旅行計画を立てようとしていたら、偶然にもきょうそのペニンシュラからDMが届いた。ペニンシュラ東京がオープンしたという案内で、中にしおりが同封してあった。なんだこれは。文庫本のしおりに使うには大きすぎる。単行本のしおりに使うには厚すぎる。首をかしげてしまった。ペニンシュラのセンスに疑問を感じてしまった。別の世界への誘惑が少しふくらむ結果となった。
人の心はうつろいやすい。それを考えると、マーケティングの仕事やビジネスは容易ではないだろうと思う。人の心はさまざまだし、なんと複雑でとらえどころがないものなのだろうときょうは感じた。自分の心変わりの動きを確かめたいと思ったが、それを正しくらえることはとても難しいことだとも思った。ただ、時の流れは目に見えないきわめて緩やかなスピードで何かを変えていくと感じた。
特に問題があるわけではないのだが、次回はペニンシュラに行かないかもしれないと漠然と思ったのだった。「卒業」という言葉が思い浮かんだ。