自宅で日本酒を燗酒として飲む場合、愛用のぐい飲みでだいたい3口ぐらいで空けて注ぎ足す。文字通り「ぐい、ぐい」と飲む。少し酒量を減らそうという意味もあって、最近これを4~5口ぐらいで飲むようにしてみた。「ちび、ちび」だ。
うまい。1回で口に含む量が少なくなると、以前より酒のうまさが口の中にじわっと広がるような感じがする。これはある意味で「量の質への転化」ではないかと、新発見をした気がする。ついでにつまみもがばっと口に入れるのではなく、少なめの量をつまんで味わうと、これもうまい。酒の世界の奥深さを知ったような気もする。
意外なところに隠れていた楽しみを見つけたような気分だ。酒もつまみもうまいので、どうしてもお銚子の数が増えることになる。こうして酒量を減らそうという本来の目的は酔いの彼方へと消えていくのである。