村松友視氏の『こだわり万華鏡』というエッセイを読んでいたら、その中の「貧乏性」というタイトルのチャプターで、彼は石けん、歯ブラシ、ひげそりなどホテルのアメニティをことごとく持ち帰るということが分かって驚いた。彼の家には持ち帰ったこれらのものが集積して、カミさんはいやな顔をしているらしい。
僕もかつては海外の有名ホテルに宿泊したときなど「記念に」と思って、歯ブラシやソーイングセットなどを持ち帰ったことが一度や二度はあったが、結局持ち帰ってもゴミになるだけなので、そのうちやめた。
ふと、みんなはホテルのアメニティに関してどのように対応しているのだろうと今夜は興味が湧いた。聞くところによれば、中国人などはタオルとかガウンなども持ち帰るらしいし、インド人などは布団まで持ち帰るらしい。他人のブログなどを見るとシャンプーやリンスを持参した容器に移し替えて持ち帰る人もいるらしく、僕などは驚くというよりただただあきれてしまう。
村松友視氏のように、あるいは中国人やインド人、容器持参の日本人などのように、これまで滞在したホテルのアメニティを何でもかんでも持ち帰る根性があったなら、僕の人生も違ったものになっていたかもしれないとふと思ったのであった。