数日前のNHKテレビで日本の35歳の人間の現状と問題点を探るドキュメンタリー形式の特集番組を見た。その中で、ひとりの35歳の男の夕食の情景が映し出されて、妙に記憶に残った。NHKのことだから、多分「やらせ」や「演出」があるのだろうが、収入が少ないために結婚できないというその男のひとりで作って食べる夕食は、肉野菜炒め・ご飯・味噌汁だけの簡単かつ単純なメニューだった。最近一人で夕食を作る僕のメニューの場合は最低でも3~5品の「おかず」があるから、これには驚くと同時に深く胸に刻みこまれた。さらに驚いたのは、彼はその食事をトレーにのせて、食卓ではなくパソコンがある自分の机に運んで食べているのだった。
結婚は人間が生きるための基本的条件のひとつだろうが、食事はそれ以上に基本的なことだろうととっさに感じた。食なくしてどんな生もあり得ないだろう。本人は納得しているのかもしれないが、僕の目には悲惨な食の情景に見えた。
今日は民主党の代表が辞任を表明したというニュースがトップニュースだった。政党の党首や政治家は激務の日常なのかもしれないが、テレビで見る限りはいつも血色のいい顔をしている。ニュースを見ていてふいにあの35歳の男の顔を思い出したのだった。烏合の衆としか思えない政治家たちを見ると、この国の国民の生活と政治の絶望的な乖離を感じてしまう。
日本の失業率は現在4.8%だそうだ。失業率が10%を超えると革命が起こる可能性が生じるという説があったことを思い出した。35歳の世代が苦戦しているとは言っても、まだまだ、この数字では日本では革命は起きそうにないな。さらに烏合の衆ではあっても、日本の政治家どもは自分たちの保身のためにも場当たりの政策で失業率のさらなる上昇をくい止めようとするだろうから。