「生きざま」。この言葉は語感の響きが好きではないので、僕はこれまで使ったことはない。しかし、この言葉には生き方や人生などといった概念をさらに生々しく表現する響きがあるような気がする。『山頭火とともに』(小野沢実、ちくま文庫)を読んで、これまで断片的な知識しかなかった山頭火の生涯と彼の句について理解し、同時にこの言葉が思い浮かんだ。壮絶とも言える彼の生涯と生き方はこの言葉でしか言いようがない感じがした。
分け入っても分け入っても青い山
この句は彼の代表的なもので、前から知ってはいたが、行乞放浪の旅に明け暮れた彼の生涯を知って、初めてこの句に表現された彼の心情が理解できた。それにしても、山頭火という人の一生は、何といったらいいのだろうか。言葉が出てこない。