先日、図書館で『しあわせのねだん』(角田光代)という本が眼に入り、手に取って表紙を見ると、なんか以前に読んだような気がすると感じた。ぱらぱらめくって本文を読んでみる。しかし確かに読んだという記憶がよみがえってくることはなく、初めて読むような内容なので借りてきた。もし、一度読んだことがある本なら、読み進んでいくうちに気がつくだろう。しかし、読み進んでもこの本は読んだという確かな記憶はよみがえってこない。読んではいないのかもしれない。一方で、読みながらどうも読んだような気がするという思いはずっと消えないままだった。
そんな思いを抱きながら、読み終えてしまった。読み終えても、この本を結局2回読んだことになるのかどうかはっきりしない。角田光代さんには失礼かもしれないが、一度読んだが記憶には残らない本だったということなのかもしれない。