家人と買い物に出かけた。周辺の魚屋などと比べて最近は品揃えも品質もずっとましなスーパーの魚売り場に、きょうは生きた毛ガニ(4500円)が2匹とマグロのカマ半身(2500円)が2つ、とくにマグロは今店に出したばかりという感じで並んでいた。両方に激しく心を動かされた。どうしようかと迷っていると、僕らより若い年代のご夫婦が大胆にもさっと手を伸ばしてマグロのカマを取り、かごに入れたのだった。もう1つしか残っていない。焦った。家人は「こんな時は、まずかごに入れるのよ! 買わないときは後で戻せばいいんだから!」と脇で叫ぶ。
結局、マグロのカマ半身を買って帰った。今夜の食事は脂の乗ったカマの刺身と手巻き寿司で決まりだ、と帰り道はその光景を想像して胸が踊る思いだった。
しかし、帰宅してそのマグロを捌くと、その脂の多さに驚かされた。ギトギトなどという生やさしいものではない。切り身にして刺身で食べようと思った部分を切り分けて皿に盛るとまるで脂の中に刺身が浮かんでいるような感じだ。
こんなはずではなかった。パッケージを見直すと、確かに「本マグロ」「生」とは表示されていたが、どこにも「天然」という表示はなかった。養殖物だったのだ。どおりで脂がギトギトだったのだ。血迷ったとしか言えない。酒もツマミも大満足の豪華な食卓になるはずだったが、口数も少なく盛り上がりに欠ける晩餐となった。
こんなことは恥ずかしいことなので、ブログで書くようなことではないかもしれない。しかし、このような過ちを繰り返さないためにも、記録しておく必要があると思ったのである。