愛読書とはなんだろう。新聞などで現在活躍中の人物を紹介している記事にはその人の座右の銘や愛読書があげられていることが多い。どんな本を読んでいるのか、どんな座右の銘があるのかと気になって読んだりすることが多い。しかし、その人たちと愛読書が共通することはまずない。その人たちが購読している「日経新聞」の場合は、僕とは違って経営者などが多いためかもしれない。
愛読書とはなんだろう。好きで何度も読み返したりする本というのが一般的な定義だろう。しかし、自分のことを考えれば何度も読み返したりするする本などはない。大体、昔読んだ本の内容がはっきりしなくなって、その本を批評している文章に出合ったりして2度読む事はあっても、3度読んだことはない。新聞に登場するその人たちは果たして何度も、あるいは3度以上読み返したりしているのだろうかと訝しく思う。
そこで、僕自身のことを思い返してみた。2度読んだ本では、『チボー家の人々』『青べか物語』『父の詫び状』『こころ』『三四郎』『赤と黒』『坊っちゃん』などなど。どれももう一度読みたいとは思わない。何度も読み返したい本があると思うことなどない、全くないと言ってもいい。僕は読書量が多いとは決して言えないが、本をよく読んでいる人たちは愛読書が多く、しかもその愛読書を何度も読み返したりしているのだろうか。