日本の高速道路は不思議だ。追い越し車線のほうが込んでいて走行車線のほうが空いているという状況にときどき遭遇する。いったん追い越し車線に出てから、なかなか走行車線に戻らず走っている車が多い。最高速度が100kmという規制があるからかもしれない。「110kmで走っているのだから、それをじゃまだと思うのは法律違反だ」という意識があるから、決して後続の車に譲るということをしないのかもしれない。人に譲るということは「負ける」ことだと思っている人もいるのかもしれない。
私のヨーロッパでの経験では、このようなことはない。追い越し車線はあくまで前の車を追い越すための車線で、前の車を追い越した後は走行車線に戻るというのが暗黙のルールとして人々に認識されているに思える。もちろんそこにはドイツなどのように速度無制限ということや、多くのヨーロッパの国々のように最高速度が日本よりも30kmも高速に設定されているという背景があるだろう。しかし、100kmで走る人もいれば、200kmぐらいで走る速い車もいる。いろいろだ。いろいろな人々がいて、それなりにみんな他人のことに配慮している。
日本ではいらいらすることが多い。そこで、追い越し車線を100kmに満たない速度で走っている車に追いついて、フラッシングをしても何の反応もないときには、私は左側の走行車線を追い越し車線に見立てて走り、前の車の前に出ることもある(追い越しのルール違反かもしれないが、私の車は左ハンドルだから、ヨーロッパの感覚からいえば左側を追い越すのは自然で走りやすい)。
結局、日本では自分本位の態度の人が多いということに帰結するように思えてならない。これは中国にもいえるだろう。あるいはもっと広げてアジアの特性なのかもしれない。