自分とはいったい何だろう。毎朝ひげを剃るときに鏡に映る姿が自分ということになるのだろうか。他人が見ている僕の姿・容貌は、この鏡の姿ということになるのだろうか。
鏡に映る自分の姿形は、自分の中で思い描いている自分とは少し違うような気もする。もう少し、自分はナイーブな姿形だろうと思うこともあれば、いや、本当はもっと厚かましい顔をしているかもしれないとも思う。世界には、あるいは社会には、なぜなのか本当のことが分からないことが多い。しかし、何よりもいちばん分からないのは自分ではないかとこのごろ思う。
自分とつきあってずいぶん長い時間が経っていることを感じる。谷川俊太郎の『散文』を読んでいたら、少しは自分のことも考えてみたいと思った。
秋。落ち葉の季節になった。内省の季節になった。シャンソンが似合う季節にもなった。