電車の中。iPodで音楽を聴きながら、考え事をしたり周囲を眺めたりしていた。途中駅で、若い男が乗り込んできて向かいの席に座った。茶髪、胸に金色のネックレス、手首には金色のブレスレット、ルイヴィトンのポーチ。ホスト風だった。なんとなく好きになれないタイプだなと思った。嫌いなものはいろいろあるが、中でも僕は男のネックレスが嫌いだ。
ついでに僕の嫌いなものは何かを考えてみた。電車内で化粧をする女。携帯電話にじゃらじゃらぶら下がっているストラップ。車の中のバックミラーにぶら下がっている飾り物。食べ終わるやいなや爪楊枝でほじくる男。爪楊枝を加えたままレジに向かう男(あの爪楊枝はどうするのだろう?)。甲高い女の声。大声での電話や会話。「・・・じゃないですか」という半疑問文。テレビのバラエティ番組。スーツケースにべたべたと貼ってあるステッカー・・・ときりがない。次から次へと浮かんでくるので、いやになってやめた。
「いいではないか、みんな自由だ」と思い直してなんとか気を取り直した。